関西オフィスマーケットレポート 2020年 夏号
特集: 関西圏における賃貸物流施設のマーケット動向-空室率の動向
2020 年4 月の空室率は2.0%となり、1 月の2.8%から0.8 ポイント低下した。新規供給が限定的に推移したため、2018 年1月から10 四半期連続で賃貸市況の改善が進んでいる。4 月時点の賃貸面積は632 万㎡ (前年同期比12.1%増)、空室面積は12.9 万㎡ (前年同期比56.4%減) である。
「GLP 六甲Ⅲ (2019 年10 月竣工)」、「北大阪トラックターミナル1 号棟(2020 年4 月竣工)」、「ロジスクエア神戸西(2020年4 月竣工)」などこの1 年で新設された多くの物流施設が満室での竣工となった。
2020 年6 月末に延床面積が約36 万㎡の「ESR 尼崎ディストリビューションセンター」の竣工を控えるため、その段階では一時的な空室率な上昇が見込まれるが、全般的な需給環境は安定的に推移することが見込まれる。
特集: 関西圏における賃貸物流施設のマーケット動向-需給バランスの動向
2019年5月から2020年4月までの1年間の新規供給量は約51万㎡で、前年同期から3万㎡程度増加したが、この2年間は新規需要が新規供給を上回って推移しており、関西圏の需給バランスは緩和局面から逼迫局面へと急速に移行している。
2020年6月以降に竣工予定の主要な20件(裏面の計画のうち延床面積が判明しているもの) の開発計画により、2022年にかけて約181.7万㎡が新たに供給される予定である(うち内陸部に立地する物件は14件、113.2万㎡。湾岸部に立地する物件は6件、68.5万㎡。)
特集: 関西圏における賃貸物流施設のマーケット動向-募集賃料の動向
2020年4月の募集賃料は3,850円/坪で、前期から130円/坪(+3.5%)の上昇となった。需給改善により2018年下半期から募集賃料が上向き、この2 年間で15%近く上昇している。
5月25日に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全国で解除され、事業環境も正常化に向かっている。関西圏の賃貸市況はここまで良好であるが、不動産市況は経済変動に対して遅効性があるため、コロナ禍による不動産マーケットへの影響が具体的な数値となって現れてくるのは半年ほど先とみられる。
資料:株式会社一五不動産情報サービス「物流施設の賃貸マーケットに関する調査」
調査対象:需給データについては、延床面積または敷地面積が1 万㎡以上の賃貸物流施設が対象。
なお、以下は集計対象外とする。
- (ⅰ)不動産賃貸業以外の目的で利用されている施設(例:物流会社が所有し、主とて自社利用をする一方、一部スペースで第三者と賃貸借契約を締結している物流施設)
- (ⅱ)不動産開発または運用において、公的セクターが関与している施設(例:第3 セクターによる開発物件など)
- (ⅲ)関連会社間で賃貸借契約を締結している施設(例:親会社が土地・建物を所有し、物流子会社が賃借している場合など)賃料については、募集面積1,000㎡以上の賃貸物流施設が対象で中央値。
調査地域:京都府・大阪府・兵庫県
調査棟数:123棟(需給データ)
調査方法:各物件のテナント入居および空室状況について、実地確認およびヒアリング調査(需給データ)
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2020年7月3日